私は中国語の講師をしておりますが、実際の所、発音自体に問題がある方はすごく少ないです。間違えている発音はその場その場での訂正で改善できますので。
問題なのは声調です。
声調を自分で正しく発音できるようになるまでには結構時間がかかります。
実感として思うのは日本人は声調が苦手です。
日本語ってあまり抑揚(イントネーション)をつけないで話す言語だからだと思うんですよね。
自分では声調をしっかり発音しているつもりでも他の声調との区別があまり分からず聞き取れないという事が多々あります。
せっかく発音(音)は合っているのに声調がしっかり発音できていないと相手に伝わりません。これ、ものすごく勿体ないです。
私の経験上、中国語初心者のよくつまずく声調はだいたい同じです。
ここでは声調のポイントと覚え方、勉強方法をまとめてみました。
声調に自信がないという方、声調をどうやって勉強したらいいのか悩んでいる方、良かったら参考にしてみてくださいね(*^^*)
もくじ
そもそも声調(せいちょう)とは?
中国語の発音は、日本語のように「あ・い・う・え・お・・・」と、それぞれの文字の発音がしっかりできるだけでは完全とは言えません。その発音を決められたイントネーションで発音できて初めて正しい発音となります。
イメージとしましては日本語の「あ」という1文字でも「あ」の読み方(イントネーションの付け方)によって意味が全く別物に変わってしまうという所に中国語の独特な特徴があります。
中国語には日本語のように漢字、ひらがな、カタカナ等の種類はありません。漢字のみの言語です。
なので日本語のように「あ・い・う・え・お・・・」というような1文字1文字の単位ではなく、漢字1文字1文字が発音する最小限の単位となります。
ピンインは音の読み方+声調で成り立っています。
声調は第一声(だいいっせい)、第二声、第三声、第四声、軽声(けいせい)の5種類です。
要するに、基本的には一つの音(漢字)には5通りの読み方があります。
※意味上での区別は第一声~第四声の4種類なので「四声(しせい)」とも呼ばれています。
具体的に説明していきますね。
例えば「ma」という音を例に挙げます。
(日本語の「マ」と同じ発音(音)です。)
第一声「mā」 ⇒ 妈(お母さん)
第二声「má」 ⇒ 麻(麻)
第三声「mǎ」 ⇒ 马(馬)
第四声「mà」 ⇒ 骂(罵る)
軽声 「ma」
同じ「マ」の音にこの5通りの読み方があります。
このように同じ音でも読み方(イントネーションの付け方)によって意味(漢字)が全然違ってしまうので、例え正しい音が発音できていても声調を間違えてしてしまうと伝えたい意味で伝えらません。
各漢字の上に読み方表記として書かれているローマ字みたいなものがピンイン(拼音)です。
そしてピンインの上部(正確に言うと母音の上)にある記号が声調記号です。この声調記号が読み方(イントネーションの付け方)の指示となります。なので声調記号もピンインの一部です。
声調とはその音のイントネーションの付け方です。
中国語は音+声調の両方ができてやっと正しい発音と言えます。
それぞれの声調を発音するコツ
上記で中国語は基本的には一つの音(漢字)に5通りの発音の仕方(声調)があるという事を説明致しました。
※漢字によっては全種類の発音がないものもあります。
では、次はそれぞれの声調の発音の仕方を説明していきますね。
ざっくり簡単に説明してしまうと、声調の読み方はピンインの声調表記の記号の通り読めばいいです。
※第三声の読み方はちょっと違います。詳しくは第三声の説明をご覧ください。
声調を具体的に勉強する前に・・・声調を上手に発音する為に、特に日本人には心得ていて欲しい事が1つあります。
冒頭で日本人はあまり抑揚(イントネーション)をつけないで話すというお話しをしましたよね。
日本人にしてみればもちろんそれぞれの単語や表現にイントネーションがしっかりあるのですが、中国語の声調と比べてしまうと日本語は全体的にボソボソとしか聞こえないと言っても過言ではないと思います。
中国語の声調は日本人の考えているレベルのイントネーションとは全く違うという事を先ずしっかり頭に入れておいてください。
声調が上手く発音できないという方のほとんどの方が声調を日本語レベルで考えています。要するにイントネーションをつけているつもりでも高低差の区別がほとんどついていないのです。
これすごく重要!!
「こんなにイントネーションつけちゃったらオーバー過ぎない!?」
ってぐらい思いっきり発音して、それでやっとネイティブにとっては普通に聴こえるという事を先ずしっかり頭に入れておいてください。
それでは具体的にそれぞれの声調の発音のコツを説明していきますね。
声調は声調記号の見た目のまま高低差をつけて発音します。
上の図は具体的な音の高さの比較を矢印で表しています。
※図の中に横に引いてある三本線の真ん中が普段話す声の高さとします。
第一声
普段話をする声のトーンがありますよね。まずはその高さを基準と考えて下さい。
一声は(普段は第を付けずにこう呼びます)ご自身の普段話すトーンよりも高めに声を出します。地声のトーンよりも高めです。
声を出したらその音を声調記号と同じように真っすぐ同じ高さで伸ばして発音します。
発音練習は慣れないうちは長めに発音する事を意識してくださいね。
第二声
二声は一番低い音から一気に高い音に持ち上げます。
第三声
三声は普段の声の高さぐらいから一番低い音まで下げてまた少しだけ高さを戻します。
声調記号は「V」という形になっていますが、実際には音の高さを下げてから同じ高さまでは戻しません。
普段の高さから一番低い音まで下げた後、それからちょっとだけ上げ戻して発音します。
上の図の赤い丸で囲った部分です。この矢印の通りに底辺の高さから少しだけ上げ戻します。
【注意】
「我(私)」や「你(あなた)」のように漢字1文字のみで意味をしっかり主張する単語はこのように一番低い音まできたら少し折り返して音を上げて発音するのですが、2文字以上の単語等の中で三声を発音する場合の三声の発音は、普段の高さの音から一番低い音まで下げてそのまま下げ止まりとなります。
要するに、基本的な三声の発音は普段の声のトーンの高さから下げてそのままです。Vの字の形通りに下げてからは上げません!下げ止まりです!!
声調記号「V」の字のように下げてから少し上げる発音は1文字のみの漢字で意味をしっかり主張する場合のみです!!
↑↑この三声のお手本発音をしっかり聴いてみて下さい。
音が下げたまま上がっていないのが分かりますでしょうか?
基本的には三声はVの字回復(?)的な発音はしないんですよ!!!
ここすごく重要です!!!
でも「我」「你」「也」等の1文字で重要な意味を持つ単語はしっかり下げてからちょっと上げるを意識して発音してくださいね!
第四声
四声は高い音から一気に低い音まで下げます。
軽声
軽声はその漢字の意味の通り軽く発音します。基本的には普段のトーンぐらいの高さで伸ばさず軽く短く発音します。
※前後の声調により発音する高さは変わったりします。
因みに、漢字1文字1文字にそれぞれ意味がありますが、中国語の単語は基本的には2文字以上で成り立っています。
(主語や助詞、副詞等の特別な単語を除く)
例えば、「妈(「ma」の一声)」という漢字がありますよね。この漢字はお母さんという意味ですが、本来「お母さん」という中国語の単語は「妈妈」という2文字です。
「妈妈」という単語のように、同じ漢字を重ねて作られた単語の多くは後ろ側の漢字を軽声で発音します。
なので「妈妈(māma)」という単語は「一声+軽声」の組み合わせの発音となります。
これで声調の第一声から軽声までの5通りの発音の仕方を一通り説明致しました。
実は声調の発音で一番重要な事は、1つ1つの発音ではなく単語や文章になった時に全体を通して正しい声調で発音できるかどうかです。
中国語初心者のだいたいの方は漢字1つ1つの声調自体は訂正すればその場ですぐ直せます。
なのですが、単語や文章での発音となると前後の声調につられてしまって正しい声調が発音できなくなる方がものすごく多いです。
声調の覚え方
声調はピンイン(拼音)の一部です。そしてそのピンインは漢字の読み方表記の事です。
なので、声調を覚えるというよりもそれぞれの漢字の読がみ方のピンインを覚えるという事が重要です。
発音は声調だけ覚えても意味ないです。
中国語初心者の方に多いのが発音の音だけは覚えているけれど声調はあいまいというケースです。
冒頭でもお話ししましたが、せっかく音が合っているのに声調があいまいだから相手に伝えたい事が伝わらないという事はものすごく勿体ない状態です。
ご本人は声調をしっかり発音しているつもりでも高低差がはっきりしていないので聞き取れないという事も多々あります。
なので声調が苦手だという方、基本に戻って漢字1つ1つのピンインをしっかり頭に入れる、発音の練習をしっかりする事から始めていきましょう!
余談ですが漢字単位でしっかりピンインを覚えていくと日本人ならではの利点があります。
日本語はもともと漢字を使っている言語なので、知っている漢字が頭の中で繋がってくると例え勉強した事がない単語でもどんどん理解できるようになってきます!この状態まで勉強が進んできたら語彙力は一気に増えますよ♪
では具体的に漢字の声調を含めたピンインの覚え方をご紹介していきますね。
ズバリ、書いて話して聴いて覚えるです。
漢字は見ただけで覚えた気になってはダメです。実際にしっかり書く練習をしてください。書く練習をする時に漢字だけではなく同時にピンインもしっかり書く事がポイントです。漢字とピンインはワンセットで覚えるまで書いて練習します。
そして書くと同時にしっかり声に出して発音してください。発音はお手本の発音をしっかり聴いて真似してください。
面倒くさいと思った方、面倒くさいのは最初だけです!
テキストの最初からこうやってしっかり出てきた漢字を1つ1つ覚えていけば、どんどん同じ漢字が出てくるので覚えた漢字は練習する必要がなくなりだんだん覚えるのが早く楽になってきます。
例え覚えたそばからすぐ忘れていっても大丈夫です。(私はすぐ忘れますww)
常用漢字は常にどんな文章にも出てくるので、出てきた漢字(単語)をその都度このやり方でしっかり勉強を続けていけば、覚えてない漢字は必然的に何度も勉強する事になるので嫌でも覚えてきます。
最も重要な事は勉強を続ける事です。
勉強を続けてさえいければ、漢字の読み方を忘れても重要な単語程何度も何度も出てくるのでそのうち覚えられますが、勉強を続けられないと当然いつまでたっても覚えられません。
例え覚えた単語でも勉強しないと忘れます。覚えた苦労が台無しになります(泣)
中国語初心者がよく間違える声調
冒頭で中国語初心者の方のよくつまずく声調はだいたい同じというお話をしました。
ここでは具体的に中国語初心者の方がよく間違える声調をご紹介していきます。
思い当たる所がありましたら是非意識して直す努力をしながら発音練習してみてくださいね(*^^*)
最初の漢字が二声の単語
最初の漢字が二声の単語を発音する時、多くの方が二声ではなく三声っぽい発音になってしまいます。
そもそも三声は単語や文章で発音する時は下げ止まりで上げ戻しをしないとご紹介しましたよね。二声とは全くの別物です。
この間違えをしてしまう方は二声の音の上げ方が遅いのが原因で一気に音を上げ切れていない状態です。二声の出だしの音が下がり切れていない場合もあります。
お手本をしっかり聴いて練習しましょう!
三声+三声の組み合わせ
これは発音の勉強をする時最初の段階で説明があったと思いますが忘れてしまう方がものすごく多いです。
いや、忘れていると言うか、発音をする事に一生懸命でつい置き去りになってしまっているという事だと思います。
三声+三声 ⇒ 二声+三声
この声調の変化の法則を頭に入れておいて下さいね。
声調に慣れてくると三声を続けて発音する事が気持ち悪く感じてくるので自然にできるようになってきます。
【三声+三声の例】你好( nǐ hǎo )
三声+軽声の組み合わせ
初心者の方はこの三声+軽声の組み合わせ苦手ですね~。
ポイントとしては一つのパターンをしっかり頭に叩き込んで下さい。そうすれば同じ三声+軽声の組み合わせがきたらその覚えた単語の声調を真似しちゃえばいいんですよ!
【三声+軽声の例】饺子( jiǎo zi )
この餃子の発音(声調のパターン)をしっかり覚えちゃいましょう!
因みに私はこれを“餃子の法則”と呼んでいます(笑)
レッスン中に生徒さんの「三声+軽声」の声調がおかしい時、「ほら、これは餃子の法則ですよ!」と言うと、皆さんすぐ出来るようになります(笑)
一声の高さ
単語単体で発音する時には問題ないのですが、文章全体を読む(発音する)時に前後の声調にひきづられてしまい一声の高さがだんだん下がってきてしまう方も結構多いです。
一声の高さ基準が下がってきてしまうと二声の上げ幅が低くなったり四声の高低差が低くなったりで全体的に高低差がはっきりしなくなり日本語のようなボソボソイントネーションと化してしまいます。
中国語の発音はこの高低差が美しいんです!その高低差は一声の高さ設定がどんどん下がってくるとなくなってきてしまいますので全体的に汚く聴こえてしまいます。結果他の声調との区別があまり分からず聞き取れないという状況に繋がります。
ここで挙げた4パターンは本当によく聴く間違いなので初心者の方は是非気を付けてみて下さいね!
逆にこれらが全部克服できたら声調はかなり身に付いたと言えると思います(*^^*)
声調の効果的な練習方法
声調は単語や文章になった時に正しい声調で読めるかどうかが重要です。
ここでは私が自分で色々な勉強方法を試してみて実際に効果的だった練習方法をご紹介していきますね。
効率よく効果的な練習をしたい方、是非試してみてください(*^^*)
声調はお手本を聴きながら音読練習するべし!
語学はリスニング(耳を鍛える事)がすごく大切です。
耳が中国語に慣れてくれば間違った声調を聴くと気持ち悪く感じるようになってきます。
具体的な練習方法はお手持ちのテキストをスラスラ読めるようになるまでしっかり音読練習をする事です。
慣れないうちはピンインをしっかり見ながら声調記号の通りに発音する事を意識してみてください。(三声はちょっと違いますが。)
そして音読練習をする時には必ずお手本の発音を聴きながら練習して下さい。
だいたいのテキストにはお手本CDが付いていると思います。これからテキストをご購入される方はお手本発音付きのテキストを必ず選んでくださいね。
お手本の発音を聴きながら真似して発音する練習を重ねていく事によって発音と同時に耳も鍛えられます。
耳が中国語に慣れてくれば自分の間違った発音にも自分で気付き自分で直せるようになってきます。ここまでできるようになれば中国語は独学でもどんどん勉強を進められます!
逆を言うと、自分の間違った発音に自分で気付けるようになるまではレッスンを受ける事をおススメします。
経験から申しますと正しい発音(特に声調)を独学で身につけるのはかなりハードルが高いです。ご自身では正しく発音しているつもりが出来ていないというケースがホント多いので。なので第三者にチェックしてもらった方が絶対に効率がいいです。
シャドウイングは最強の練習方法
発音の練習をするにあたりシャドウイングは最強です。
聴こえてきた音を(聴き終わるのを待たずに)すぐ真似して影のように追いかけて発音していく練習方法です。
シャドウイングは聴くと同時に真似して後追い発音していくので集中していないと続きを聞き逃してしまったりするのでものすごく難しいです。
難しいのですが、発音の練習にものすごく効果的です。
シャドウイングは頭の中で短時間でその話している内容の意味を理解する練習にもなるので中国語脳にする勉強にもものすごく役立ちます。
声調が上手になりたいのならお手本を聴きながらの音読練習は必須です。
特に慣れないうちは時間をかけて練習してみてくださいね(*^^*)
声調は音読練習で身につけよう!
中国語は発音が命です。
中国語を話せるようになりたいなら声調をマスターする事は必須です。声調が苦手な方、是非頑張って練習してみて下さいね!
なのですが・・・実は声調は完璧を目指す必要はありません。だって中国人でさえ声調が完璧じゃない人多いですから(笑)
中国はそもそも広いので皆共通語は話せますが普段話している言葉はそれぞれの方言だったりします。(北京語も北京地方の方言とも言えます。)なので共通語は話せるけれど地元の方言に影響されている発音になっている方も少なくありません。
声調は完璧じゃなくても相手が理解できる範囲であれば会話は成立します(笑)
なので声調をしっかり勉強して身につける事は大切ですが、あまり神経質になりすぎる必要もないです。悩んで立ち止まってしまうぐらいならどんどん新しい単語を覚えていきましょう!
勉強は楽しくなくては長続きしません。
是非美しい中国語の発音を楽しみながら勉強してみてくださいね(*^^*)

最後まで読んでいただきありがとうございました♪
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